Phonorecords V、申立書が出揃う──2028〜2032年のストリーミング使用料率が争点に
ストリーミングサービスが作曲家に支払う使用料率を決める米国の料率審理で、サービス側と出版社側が証言書面を提出した。審理は2027年3月22日に始まる。
今後5年間、ストリーミングサービスが作曲家にいくら支払うのか。その攻防が正式に始まった。10月5日(月)、Phonorecords Vの当事者が米著作権使用料委員会(CRB)に書面証言と料率案を提出した、とMusic Business Worldwideが報じた。対象は2028年から2032年までの米国におけるオンデマンド配信の料率で、今回の提出によりディスカバリー(証拠開示)も始まった。
料率案のひとつはすでに公開されている。Songwriters Guild of America、Word Collections、Eminemの出版社Eight Mile Style、ナッシュビルの作曲家George Johnsonは、2028年にインタラクティブ配信1回、または期間限定ダウンロード1件あたり$0.0030の定額メカニカル料率を求め、以降は毎年インフレ調整を行う案を支持している、とDigital Music Newsは伝えた。Society of Composers & LyricistsとMusic Creators North Americaもこの案を支持。Elton Johnの長年の作詞家Bernie Taupinも賛成の証言を提出した。
現行の仕組みとは性格がまったく異なる。現在の主軸は、サービスの米国売上に対する一定割合で、Phonorecords IVの和解により2027年までに15.35%へ上昇する。これに加入者あたりの最低額と、サービスがレコード会社に支払う額に連動する項目が付く。ストリームごとの定額なら、サービスの売上や価格設定に左右されない。
各陣営の顔ぶれ
当事者にはSpotify、Apple、Amazon、Google、Pandoraが名を連ね、配信側の代弁者はDigital Media Association(DIMA)だ。DIMAの会員にはTidal、Qobuz、Feed.fmも含まれ、TidalはDJソフトと連携するサービスのひとつでもある。対する陣営は、National Music Publishers’ Association(NMPA)とNashville Songwriters Association International(NSAI)で、「Copyright Owners」として共同で申立てを行っている。メジャー3社は共同で、インディペンデント系レーベルの団体A2IMも当事者に加わっている。
DIMAの声明は具体的な料率には触れなかった。強調したのは成長ぶりで、NMPAのデータによれば、米国の出版収入は2022年の56億ドルから2025年の73億ドルへ、30%超伸びたという。「DIMAは会員企業とともに、適時の解決を期待している」と、DIMAのプレジデント兼CEOのGraham Daviesは述べた。過去2回の展開は異なる。Phonorecords IIIはCRBの裁定に至り、主軸の料率は10.5%から15.1%に引き上げられた。Phonorecords IVは和解で決着している。
今回も和解の可能性は残る。成立しなければ、2027年3月22日に審理が始まり、CRBの初期決定は2027年12月17日までに出る予定だ。
バンドルは脇役ではない
出版社側が最も強く反発しているのが、バンドル条項だ。Phonorecords IVでは、単体の音楽サブスクリプションよりバンドルのほうが低い料率で済む。Spotifyは2024年3月にこれを利用し、Premiumを月15時間のオーディオブック視聴を含むバンドルとして再分類した。その後Amazonも、同様の音楽とオーディオブックのバンドルを開始している。
NMPAのDanielle Aguirreは6月の会合で、Spotify自身の試算を引き合いに、バンドル化によって2024年以降、作曲家と出版社は約4億8,000万ドルを失ったと述べた。SpotifyとAmazonが支払うロイヤリティは約30%減ったという。NMPAは、是正されなければ2032年までの損失は31億ドルを超えると見ている。
Mechanical Licensing Collective(MLC)は2024年5月、この件でSpotifyを提訴した。訴えは2025年1月に棄却されたが、同年9月に一部が再開された。2026年9月1日、Analisa Torres判事はMLCの即時上訴の申立てを退けたが、Spotifyの「unclean hands」の抗弁は退けた。NMPAとNSAIは、この訴訟の文書についてCRBに召喚状の発行も求めており、Spotifyはこれに反対している。
ダウンロードは別トラックで進行
いまもファイルを購入しているなら、ダウンロード側の動きは落ち着いて見える。6月、メジャー各社、A2IM、NMPA、NSAI、Music Artists Coalitionは、フィジカル、永久ダウンロード、着信音について、2032年まで現行の枠組みを維持することを提案した。ダウンロードのメカニカル料率は、2026年時点で1曲あたり13.1セントまたは1分あたり2.52セントのいずれか高いほうだ。今後もインフレに応じて上昇し、レコード会社とA2IMは2028年に約13.7セントになると見込んでいる。
全員が署名したわけではない。SGAとWord Collectionsは、この合意が2021年と2022年のインフレ分を飛ばし、実質的に料率を12セントへリセットするものだと主張している。CRBはこれを採用するかどうかをまだ決めていない。先月には、これらのフォーマットをストリーミングの審理から切り離し、レーベルと出版社の共通所有関係について、和解当事者に追加情報を求めた。
今回の提出書類には、どの結果になってもサブスクリプション価格やDJ連携ストリーミングで使えるカタログにどう影響するかは示されていない。注視すべきはそこだ。2027年に決まるストリーミング料率は、2028年以降にトラックを引き出すサービスの収益構造を左右する。バンドル料率の引き下げか、ストリームごとの定額制かでは、その影響はまったく違ってくる。3月の審理までに和解が成立するかどうかに注目したい。