ADE ’26、第30回は3,600組のアーティスト・来場者60万人で閉幕
Amsterdam Dance Eventは10月21日〜25日、300会場で開催。カンファレンスではAI、アーティストのブランディング、オーセンティシティが中心的な議題に。ADE ’27は10月20日〜24日。
Amsterdam Dance Eventは今年で30周年を迎え、過去最大のラインナップで開催された。会期は10月21日〜25日の5日間で、3,600組以上のアーティスト、1,300超のイベント、300会場が参加。主催者は来場者数を約60万人としている。DJ Lifeが伝えた。
プログラムは小規模なクラブナイトからアリーナ公演まで幅広く、その合間に機材展示や業界向けワークショップが組まれた。カンファレンスでは、AI、SNS上での見せ方、アーティストのアイデンティティとブランディング、そして競争が激しさを増す市場でオーセンティシティとストーリーテリングがアーティストの差別化にどう効くかといった話題が繰り返し取り上げられた。
クラブナイトとアリーナ
クラブ部門は10月21日、LevenslangでのPrison Raveで幕を開けた。キュレーションはD’Angello & Francis。Levenslangは旧Bijlmerbajes刑務所のボイラー室を使った1フロアのクラブだ。スコットランド出身のハードダンスDJ、Hannah Laingはトランスとハードバウンスを行き来し、自身の「Lethal Industry」のリミックスから、The Rocketmanとのコラボ曲「Rewind」までをプレイ。続くBassjackersは、よりヘビーでテクノ寄りのsetを披露した。
同夜のClub Baggerbeestでは、Analog Kitchenが従来のDJセットアップを使わないテクノの作り方を見せた。使用機材はドラムマシン、シーケンサー、サンプラーのみ。エンジニアでイマーシブオーディオのスペシャリストであるAttie Bauwと、ギタリストのEran Harevenも加わった。ハードウェア中心のアプローチは通常のステレオを超え、パフォーマンス中に個々の音や楽器がフロア内を動き回った。
金曜には、Mochakkが自身のMochakk CallingシリーズをGashouderに持ち込んだ。Gashouderはガス貯蔵タンクを転用した会場で、プレオープン期間中だった。27歳のブラジル人DJは、安定したベースラインとグルーヴを軸に、ブラジリアンハウスのサウンドの中で変化をつけたsetをソールドアウトの会場で披露。「Fine Day Anthem」のカバーでは、フロア全体でスマートフォンが掲げられた。
夜のプログラムは、Amsterdam Music Festivalで締めくくられた。アリーナ規模のこのショーでは、ビッグルームハウス、メロディックテクノ、トランスが続き、最後はハードスタイルで幕を閉じた。Armin van Buurenが再登場し、たびたび共演するコ・ボーカルのSACHA、ギタリストのDouwe Bobとともにプレイ。David Guettaは空中アクロバットを交えたMonolithショーを披露し、その後Marlon HoffstadtとのB2Bで最近のリリース「Caught Up」を祝った。「Daddy Trance」の愛称で知られるHoffstadtは、Dimitri Vegas & Like Mikeとのコラボ曲「Makina Time」をプレイした。妊娠6カ月のAmelie Lensは、自身のsetでツアーシーズンを締めくくった。AMFの演出は従来より大規模で、パイロやファイヤーワークスも過去の回より増えていた。
Cultural Park WestergasのHet Ketelhuisで開かれたADE Lab Discoveryでは、プロデューサーやDJが新しいハードウェアやセットアップを試せた。出展社にはAlphaTheta、Roland、Technics、KORG、Arturia、Yamaha、Reloop、Hercules、Ecler、Audeze、AIAIAIなどが名を連ねた。
AIをめぐるラウンドテーブル
10月23日、Felix Meritisで開かれた”Artists on AI, A No-BS Roundtable”には、MathameのMatteo Giovanelli、BT、Portrait XO、Dave Clarke、Miss Kittinが登壇し、音楽における機械学習をめぐって議論を交わした。
Portrait XOは、アーティストの作品を同意なく使うことは著作権の問題にとどまらず、基本的人権に関わる問題だと述べた。クリエイターを守るための制度的な変革とより良いインセンティブを求め、「現在、アーティストはアクセサリーや『派手な新しいもの』として扱われており、それがさらなる搾取の余地を広げている」と警告した。
BTは異なる立場を取った。「誰もが自分自身のデータセットであり、それには価値がある」と語り、アーティストの作品や創造的アイデンティティは、人間に取って代わることなくAIツールに情報を提供しうるとした。Clarkeは、機械やサウンドエンジニアリングへの関心を、現在のAI論争とは切り離して語った。Miss Kittinは、機械学習アプリケーションに自分のように「考えて」ほしくはなく、自分のプロセスに挑戦してくれるツールのほうがいいと述べた。AIでの実験を「火遊び」と表現したうえで、こう付け加えた。「子どもたちは、自分の奇妙さと向き合うために自尊心を学ぶ必要がある。どんなツールも技術もテクノロジーも、あなたの違いを育てていく」
ブラジルの女性DJ
同日のFelix Meritisでは、パネル”Female DJs in Brazil: Breaking Beats, Breaking Barriers”が開かれ、性差別、人種差別、安全面、ブッキングにおける不平等な扱いが取り上げられた。登壇者はブラジルのDJ、DJ Ray、Galecta、LUA。
LUAは、男性DJはブッカーとマネージャーだけで移動することが多い一方、女性は身を守るためにより大きなチームが必要になることが多く、コストと手間が増えると語った。Galectaは、自身も相当な数の観客を動員していたにもかかわらず、ヘッドライナーがギャラのほぼ全額を持っていったことから、大きなスロットを辞退したと明かした。DJ Rayは、ブラジルの女性DJはサウンドよりも外見で起用されることが多く、男性DJなら許される選曲でも二重基準にさらされると指摘。「男性DJのsetにはいつも露骨に性的なボーカルが入っている。でも私たちがやると……同じ曲を同じボーカルでかければ、女性は批判される」と述べた。
Galectaはさらに、ヨーロッパではより多くのサポートを得られる場合があり、声を上げやすいこともあると付け加えた。
次回のADEは2027年10月20日〜24日に開催される。