Spotify、AIリミックス機能を2027年第1四半期に投入か 月額$4〜$5を検討
SpotifyのAIカバー/リミックス機能について、UMG、Merlin、Kobalt、Believeとのライセンス契約が成立。SonyとWarnerとは交渉が続いている。
Spotifyは、AIによるカバーとリミックスのツールを2027年第1四半期に投入する計画だと、Financial Timesが10月30日(金)に関係者の話として報じた。既存のサブスクリプション料金に上乗せする形で、月額$4〜$5の価格を検討しているという。時期も価格も確定ではないとFTの情報源は注意を促しており、Spotifyはコメントを控えた。
発表は2月のグラミー賞前後になる可能性がある。第69回授賞式は2027年2月7日に予定されている。
このツールでは、有料会員がAIを使い、オプトインしたアーティストの楽曲から自分なりのバージョンを作れる。FTが挙げる例は、フォークソングをダンストラックに変える、あるいは別のアーティストがカバーしたように聞こえるバージョンを作る、といったものだ。ファンが作ったリミックスのロイヤリティは、原曲のアーティストに支払われる。Spotifyはリミックスをプレイリストに入れる仕組みも開発中で、その再生数はチャート上で原曲の再生として計上される。
4件の契約が成立、残るはメジャー2社
最初に動いたのはUniversal Music Groupだった。5月21日にニューヨークで開かれたSpotifyのInvestor Dayで、原盤権と音楽出版を対象とする契約を発表した。続いて8月4日にMerlin、8月13日にKobaltが契約。Believeは10月20日に署名し、Believeとそのセルフリリース向けプラットフォームTuneCoreに参加するアーティストとレーベルが対象となる。この契約の発表でSpotifyとBelieveは、同ツールを「AIを活用したリミックスとカバーに特化して設計されたものであり、まったく新しい作品を作るためのものではない」と説明した。FTも、テキストのプロンプトから新曲を生成するSunoのようなジェネレーターとは一線を画すものと位置づけている。
Sony Music GroupとWarner Music Groupとは、まだ交渉中だ。Spotifyは、この2社が揃わなくてもローンチは可能だとしている。8月4日の2026年第2四半期決算説明会で、共同CEOのGustav Söderströmはこう述べた。「答えは、すべてのメジャーとの契約は必要ない、ということだ」。さらにこう続けた。「できるだけ多くのアーティストに参加してほしいが、全員が参加するとは考えていない」。当時彼が示した次のステップは、一部ユーザー向けのリサーチプレビューで、ローンチは「準備が整い次第」とのことだった。
レーベルとの契約だけで参加が決まるわけではない。レーベルがカタログをライセンスしていても、参加するかどうかはアーティスト本人が決める。SpotifyとUniversalは個々のアーティストと面談を重ねてカタログの参加を募っており、現在のトップスターは、ベテラン勢の一部よりも契約を取り付けにくいとFTに語った関係者もいる。Universal所属のOlivia Rodrigoは、Spotifyのツールについてではなく、自身の楽曲でのAI利用についてThe Hollywood Reporterに語り、「私の音楽には、AIは絶対に使わない」と述べた。彼女はこれを「譲れない一線」と表現した。
Söderströmは、このツールを旧譜の収益源として売り込んできた。9月9日のGoldman Sachs Communacopia + Technology Conferenceでは、こう語っている。「ファンがあなたの曲のリミックスを作れば、ストリーミングのプールのうちあなたが受け取る取り分が実際に増える」。
複数ある追加サービスの一つ
このツールは、エンゲージメントの高いユーザーからより多くの収益を得るためにSpotifyが開発している複数の製品の一つだ。Investor Dayでは、Reservedも発表した。アーティストのもっとも熱心なPremiumファン1人につき、一般販売に先立ってツアーチケット2枚を確保する仕組みで、ローンチパートナーはLive Nation。Reservedは6月に米国で提供が始まった。Spotifyはここで、2030年まで為替一定ベースで年平均10%台半ばの増収という目標を掲げた。
2026年第3四半期の売上高は前年同期比16%増(為替一定ベースでは14%増)の49億7000万ユーロ(57億2000万ドル)。Premium会員数は9月末時点で3億600万人に達した。BernsteinのアナリストIan Mooreは、2028年末までに米国の会員の7〜8%がこのAIツールに加入する可能性があるとFTに推計を示し、有料アドオンが成長目標の達成に寄与し得ると述べた。
Spotifyが有料アップグレードに言及したのは今回が初めてではない。2025年2月には、PremiumへのアドオンとしてMusic Proティアを最大月額$5.99で検討しており、AIリミックス機能が特典候補に含まれ得るとBloombergが報じていた。今回の計画の詳細はMusic Business Worldwideのレポートで読める。