判事、RBXによるSpotifyとDrakeのボットストリーム訴訟を再提訴不可で棄却
Josephine Staton判事は、申し立てが事実だと仮定しても、RBXが起こしたクラスアクション(集団訴訟)案件は法的に成立する請求を示していないと判断した。弁護団の主任弁護士の一人は、控訴の可能性が高いと述べている。
Spotifyがボットによる Drake のストリーム水増しを放置し、他の権利者のロイヤリティを損なったとして起こされた訴訟を、米連邦地裁の判事が再提訴できない形で棄却した。カリフォルニア州中部地区連邦地裁のJosephine Staton判事は10月23日、Spotify側の申し立てを認めた。Music Business Worldwideが報じた。同判事は6月22日にも一度この訴えを棄却しており、今回は原告が同じ主張を再び持ち込むことを認めなかった。
Collinsの主張
原告はラッパーのRBX、本名Eric Dwayne Collins。2025年11月、米国の権利者によるクラスアクションを想定して提訴し、過失と、カリフォルニア州不正競争法違反を主張した。訴状でDrakeは中心的な事例として扱われたが、被告ではない。
主張の軸はSpotifyの分配モデルにある。各市場のサブスクリプションと広告の収益は月ごとにプールされ、その市場での各トラックのストリーム比率に応じて分配される。Collinsは、特定のカタログに計上される偽のストリームが1件増えるごとに、他の全員の取り分が減ると論じた。修正後の訴状は、2025年までの48カ月のサンプリング期間において、Drakeの約370億件のSpotifyストリームのうち「相当程度で軽視できない割合」が不自然に見え、ボットアカウントのネットワークによるものとみられると主張。少なくとも6億ドルのロイヤリティが流用されたと見積もっていた。
Collinsは、補償的損害賠償と懲罰的損害賠償に加え、問題の行為によってSpotifyが得た収益の引き渡しを命じるよう求めた。6億ドルの見積もり以外の損害額は、公判で立証するとしていた。さらに、独立した監視役を置いて偽ストリームの削除を裁判所が監督することや、CAPTCHAや有効な携帯電話番号・クレジットカードの確認など、登録時チェックの厳格化も求めた。
訴状の核心は選択的な取り締まりへの批判だった。Spotifyは、最低ストリーム数やユニークリスナー数の基準で新人やインディペンデントのアーティストからロイヤリティを剥奪し、「低い層を厳しく取り締まる」一方、エンゲージメントや広告の数字を支えるA級アーティストには同様の精査をしていない、という主張である。2024年4月以降、録音音楽のロイヤリティを得るには、直近12カ月で最低1,000ストリームに加え、非公開の最低ユニークリスナー数が必要になっている。
Spotifyは2025年11月の当初の提訴に対し、「業界全体の課題である不正ストリーミングによって利益を得ることは一切ない」と反論。偽ストリームの削除、ロイヤリティの保留、ペナルティの課金を行うシステムに投資していると説明した。
Drakeの過去の申し立て
Collinsは7月13日に修正訴状を提出した。そこでは、Drakeが「かつて法的書面で説明した」こととして、「ストリーミングとライセンスはゼロサムゲームだ」という一節を引用している。同じ表現は、Drakeの会社Frozen Moments LLCが2024年11月に出した申立書にも見られる。この申立書は、Universal Music Group(UMG)とSpotifyがKendrick Lamarの Not Like Us を「人為的に押し上げる」計画を進めたと非難していた。Drakeはこの申立てを取り下げ、UMGを名誉毀損で提訴した。同訴訟は2025年10月に裁判所が棄却し、現在は控訴審に係属中で、口頭弁論は12月4日に予定されている。
判事が棄却した理由
Staton判事の16ページの決定は、Drakeの数字が正確かどうかには踏み込んでいない。事実関係の主張がすべて真実だったとしても、訴状は法的に成立する請求を示していない、というのが判断だった。
過失の点では、第三者のボットから保護する義務をSpotifyがCollinsに対して負っていたことを、Collinsは示せていないとした。両者の関係は「主として相互に利益のある経済的なものであり、法人と個人の間の経済的関係に典型的な力の不均衡はあるにせよ、その域を出ない」と判事は記した。訴状自体がCollinsを「世界的に知られたパフォーマー」と表現しており、判事は「したがって、主張された内容に照らせば、原告は小規模でも弱い立場でもないアーティストである」と書いた。Collinsは、ストリーミングのシェアがツアーの出演枠、ブランドとの契約、テレビや映画への楽曲起用に影響するため、Spotifyは収入だけでなくキャリアも守っていたと主張していた。判事は、それだけではSpotifyが保護者の立場になるわけではないとした。
不実表示の主張も認められなかった。Spotifyが掲げる「公平な競争環境」という目標は、虚偽と証明できる性質の表明ではないという。人為的ストリームの「日次クリーニング」という説明はより具体的だが、Collinsはそれが行われていないことを示す事実を主張していない。判事は「主張された事実が示唆するのは、Spotify上で不正ストリーミングが依然として存在するということだけだ」と書いた。
選択的な取り締まりについては、基準とそれが小規模アーティストに与える影響は、消費者に隠されていないとした。訴状が述べているのは「選択的な取り締まりの理論ではなく、差別的影響の理論だ」と判事は書いている。不正競争法は消費者と競争事業者を守るためのもので、Collinsはそのどちらに対する損害も主張せず、権利者としての損失のみを訴えていたと認定。訴状の再修正を認めても「無駄に終わる」と記した。
Collinsの主任弁護士の一人、Mark PifkoはRolling Stoneに対し、「決定内容を精査しているが、控訴する可能性が高い」と述べた。控訴する場合の提出先は米国第9巡回区控訴裁判所となる。決定は、Spotifyに対し5日以内に判決案を提出するよう命じている。